離婚の後押し
都内の不動産会社で働いていた時の話です。
賃貸マンションの事で相談が入りました。管理はオーナーご自身でされている物件でしたが、入居者が半年以上も滞納しているとの事、滞納が解消できれば管理をさせてもらえるという事で受ける事になりました。
・賃料/65,000円(共益費があったような気がします。2,000円位?) 2DK
・夫婦2人と子供3人(小学校の低学年を頭に幼稚園児と幼児)奥さんの母親 計6人
・滞納額/40万円位
まずは事情を聴かないといけません。部屋を訪問しました。玄関を開けると子供たちの
元気な声が聞こえてきました(子供は滞納の事等分かりませんからね)。
ご主人の仕事が長続きしない。
色々話を聞いていると、ご主人が職業を転々と変えるとの事。
結局、お給料をもらえず仕舞いの時もある様でした。奥さんは子供が小さいので、自分の母親を呼び、子供たちの面倒を見てもらい、パートに出ているが、生活が全く良くならないというのです。それだからと言って家賃を払わなくて良いという話はありません。オーナーはすぐにでも、退去して欲しいという事でしたので、その方向へ考えてくれないかと相談してみましたが、引越しするお金があれば滞納はしないはずですし・・・。
困った問題でした。
ご主人とも、話をしましたが、いたって本人は軽い気持ちでいるようで、自分が仕事先さえ決まれば家賃なんてすぐにも払える・・そんな言い方でした。
もう少し待ってくれと先延ばしされて、あっと言う間に2~3ヶ月経ってしまい、その間ご主人は、建築会社、運送会社、清掃会社、葬儀屋さんと本当に転々と替わっていきます。家賃支払日になると電話は来るのですが、そのたびに言い訳ばかり。
「今日は八王子にきていて、車が混んでて営業時間に間にあいそうにないんです、家賃は銀行から下して手元にあるんですが・・・。」などと。一度は会社の営業時間が午後7時までだったのですが、「8時位には行けそうなんですが・・・。」と言われて「じゃ、9時まで待ってます!。」と言っても、約束を破られた事がありました。
強制引越し
今では考えられない事ですが、引越し業者を手配して、強制的に引越しをしてもらいました。確か費用は会社で立替えたと記憶しています。引越し先は、奥さんのお兄さんが住む分譲マンション。一人暮らしのお兄さんの所へ奥さんとその母親、子供3人が越していきました。
ご主人はどうなったか、覚えていません。
クリスマスのイブの日に
退居はしたものの、年末を迎えるにあたり、家賃がとれてないので、いくらでも良いから回収してくるように社長命令が出ました。工事部長と私、社用の車はお正月に向けて、全部洗車済で2トントラックがまだ未洗車でした。二人でトラックに乗り込み家賃の督促に行きました。今でもはっきり覚えています。小雪の降る中、年配の工事部長と二人、しかも「トラックで家賃回収に行く絵」考えただけでも切なすぎます。
回収してきました。「10,000円」何だか気の毒に思いながらも、回収したお金でした。翌日、社長に「ほんとに回収してきたの!!」って、ビックリされましたけどね。
離婚のおすすめ
年が明けて落ち着いてから、奥さんを会社に呼び、色んな話をしました。
「今の生活にしがみついていないで、「離婚」って言う手もあるよ。役所に行って相談してきなさい。あなたの仕事先はこっちで考えてあげるから。」社長にそう言われて、うなずいていました。相当大変な思いをしていたのだと思います。
無事、離婚し、役所からは手当てが出る様になり、仕事もこちらで探しました。
たまたま、私の仲介で決まったコンビニストアがあったので、店長さんに事情を話し、
雇ってもらえました。
滞納金完済!
実は、社長命令でコンビニのお給料日には、しばらくの間、お店の前で待ち伏せ (^^;)して、滞納金を払ってもらっていました。でも、一生懸命頑張ってもらって
1年以上たったかと思いますが、晴れ晴れとした顔で「これが最後の滞納分です。本当に色々とありがとうございました。」深々と頭をさげられました。生きていく自信もついたとの事。
社長と2人、良かった良かったと喜んだのを覚えています。
人生色々とは、本当によくいったもので、今おかれている状況がどんなに大変でも、
あきらめることなく一歩前に足を進める勇気を持ちたいものです。
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