【物件調査シリーズ】自分の家のガス管が隣地へ越境!?(その①)
不動産の仲介を行う上で物件調査は非常に重要です。調査結果によっては物件価値を棄損させる問題が発覚する場合もあります。つい、うっかりでは済まされないのが不動産売買仲介です。調査漏れは重要事項説明における説明義務違反にあたり、最悪、損害賠償や宅建業者として業務停止や免許取り消し等の「監督処分」を課せられることもあります。
物件調査は宅建業者としてはかなり神経を使う部分でもあります。
そんな物件調査を宅建業者はどのように行っているのか、シリーズ化して事例を交えながらお話したいと思います。
本日はライフラインの1つ、(都市)ガスの調査について見ていきたいと思います。
ガスの現地調査
ガスの調査は「現地調査」と「ガス会社へ確認」の2段階で行います。
【現地調査】
まず、ガスの利用有無とガスの種類を現地で見極めます。
1. 敷地内にガスメーターがなければオール電化
その場合、敷地内に四角い箱のようなもの(エコキュート、電気温水器)が設置されているのでわかります。
2.道路に「G」マークの表示があればガスの本管が埋設されている。
都市ガスが使える地域であることがわかります(「G」マークがなくても都市ガス地域であることもあります)。
3. 敷地内にガスメーターがある場合・・・
① 大きなガスボンベ(〇×ガスと表記)があればプロパンガス使用
② ガスボンベがなければ都市ガスの可能性大。さらに、敷地内にガス管の表示杭があれば都市ガスが敷地内まで引込済みとわかります。
4. 但し、敷地内にガスボンベがなくとも都市ガスではないケースもあります。
その周辺一帯が共同してプロパンガスを一か所にまとめて貯蔵・利用する「集中プロパン」方式の可能性もあります。
~豆知識~
道路に表示されている「G」マークや敷地内にあるガス表示杭には“赤”と“緑”がありますが、その色には意味があります。
赤のGマーク/赤の表示杭・・・鋼管(古くから使われる)
緑のGマーク/緑の表示杭・・・ポリエチレン管(最近の管)
ガス会社へ確認する
【ガス会社へ確認する】
現地調査でおおまかなガス利用の実態を確認した上で都市ガスであればガス会社へ状況を照会します。
1. ガス本管埋設状況の確認
都市ガス会社も複数あります。千葉県においては東京ガス、京葉ガス、大多喜ガス等ありますが、インターネットで検索すれば問合せ先は簡単に見つかると思います。
東京ガスではインターネットで照会することができますが、ネットサービスのない会社にはFAXで照会します。
2.埋設状況を確認
確認する内容はガス本管の埋設の有無。埋設されているのであれば、本管の埋設位置、深さ、引込位置、ガス本管や取出管の口径を確認します。また、負担金の有無や金額も確認します。
3敷地内の埋設状況にも注意
ガスの取出管が隣地を経由していないか、また、隣地の取出管が敷地に入り込んでいないかも重要な調査ポイントです。敷地内の埋設状況は個人情報にもなりますのでガス会社は基本的には開示しません。照会する場合は敷地所有者かその代理人が出向いて照会する必要がありますのでご注意下さい。
ガス本管埋設図の見方
以下は東京ガスの本管埋設図です。ガス本管がどこにあり、埋設されている深さ、ガス管の口径がわかります。また、どこから引き込んでいるのかもわかります。この引込位置は非常に重要です。この位置によっては、取出管が隣地(他人地)を越境していることがわかるからです。
以上がガスの調査となりますが、次回は調査で取出管が他人地を越境していることがわかったケースも見ていきたいと思います。
⇒次回に続きます
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