【物件調査シリーズ】自分の家のガス管が隣地へ越境!?(その②)
前回の記事でガスの調査方法について書きましたが、実際の調査ではどのように行うか過去の事例をご紹介します。
これは、あるお客様から相続物件の売却依頼があり、物件調査した時のお話です。
まずは現地調査
お客様から売却依頼を頂き、早速現地に行って物件を調査しました。
お客様のお宅は親戚に囲まれた以下のような立地にありました。
現地調査を行い、前面道路にガス管が通っていることは確認でき、また、お客様のお話から都市ガスを利用していることがわかりました。
ガスメーターの位置から引込位置もおおよその検討がつきました。
その他、水道、下水のライフライン、境界を確認し、室内の状況もチェックして現地調査を終えました。
前面道路から引き込みがない??
お客様は東京ガスのエリアであることから東京ガスの「ガス本管埋設状況確認サービス」を利用して埋設図を取り寄せました。
ところが・・・
「接道している道路から引込がない??」
「隣地に不自然に引込口が2箇所ある・・・」
嫌な予感がしました。
敷地内のガス管埋設状況を確認するしかありません。しかし、宅内(敷地内)の埋設状況は個人情報となるため、東京ガスは第三者には開示しません。
そこで、売主の委任状を持って東京ガスの情報管理室に出向いて敷地内配管図を確認しました。
他人地へしっかり越境していました
以下、その時の埋設図です。
接道している道路から引き込まず、隣地を越境して引込んでいました。
接道している道路から引き込んだ方が効率が良いのに何故このようになった??
これは推測になりますが、隣地は親戚です。越境することには何も問題はなかったのでしょう(当時)。
一方、接道している道路から引込むと宅地面からのガス管までの深さが約2mとなることでコストを優先したのではないかと推測します。
越境は越境でも誰の土地を越境しているのか?
他人地を経由していることは分かりましたが、埋設図を見ても正確にどこに埋設しているかわかりません。
東京ガスの担当者に「埋設図の場所から見るとBの敷地への越境ですかね?」と尋ねても、「図面は正確性に欠けるもので、断定できません」との回答で実際、B、Cどちらの土地を越境しているのかわかりません。
そこで、東京ガスに現地調査を依頼しました。
当日、東京ガスから2名の調査員が来て調査を開始しました。
金属探知機のようなもので地中の反応をうかがいながら作業を進めます。
因みにガス管が鋼管であれば問題ないと思いますが、ポリエチレン管では反応しないのではと疑問に思われるかもしれませんが、ポリ管には金具が巻いてあるので大丈夫だそうです(東京ガス 担当者談)
より正確に確認するために掘削する場合もありますが、今回の件ではそこまでせずにわかりました。
境界標の位置から見て明確にBへの越境が認められました。
B宅は親戚の方がお住いの為、越境していることをご説明したところ、
「そうだったかねえ。そうだったったかもしれないね」と当事者ですら記憶があいまいでした。
その後、越境についてご理解いただき、今後も踏まえてA-B間で「越境に関する覚書」を締結しました。
内容は現状(Aの越境)をBが容認、Aが将来建て替える時に越境を解消し新たに引き直すというものです(譲渡者にも適用)。
今回のガス管の越境はB宅の敷地の境界付近に沿って埋設されていました。これが仮にB宅の敷地のさらに中央よりに埋設されていた場合、B宅の今後の建て替えの障害にもなり得るもので単純に覚書を交わすという対応だけでは済まなかったかもしれません。
越境は地上だけではなく、地中に埋設されているものでもあり得ますので、物件調査はしっかりと行う必要があります。
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