トイレットペーパー買い占め騒動
中国国内で新型コロナウイルスが発症したころからマスクの品薄状態が続き、最近ではトイレットペーパー、ティッシュ等の商品も品薄状態です。50年程前のオイルショックを彷彿させる事態ですね。
近年ではSNS等による情報(デマ含む)の拡散性が格段に高くなり、世の中に与える影響も大きくなっています。
今回の騒動は日本国内にとどまらず、世界的に同時多発的に起こる買い占め騒動ですから根が深い問題だと危惧します。
1973年のトイレットペーパー買い占め騒動
1973年の第四次中東戦争を背景に中東の産油国が原油価格を引き上げたこと(オイルショック)から派生。「紙がなくなる」という集団心理から噂が拡散し、トイレットペーパーが品薄状態になった騒動です。トイレットペーパーから始まり、洗剤や砂糖等、他の日常品にまで波及、騒動が落ち着いたのは実に5か月後であったと記録されております。
オイルショックが背景にあり物価は上昇しておりましたが、この騒動の間、トイレットペーパーの生産量が減るということはなく、むしろ増産していたようです。紙がなくなるどころか十分に供給量は確保できていたのです。
最近のトイレットペーパー買い占め騒動
近所のスーパーに行く妻から先週頃よりトイレットペーパーやティッシュ等が棚からなくなっていると聞きました。
カップ麺やインスタント食品、冷凍食品も少なくなっているようで、ガランとした陳列棚を見ていると凄く不安になると言っていました。
今回の騒動もご存じの通り、過去のオイルショック同様“ガセ”、“デマ”の類が拡散されたものでした。製紙メーカーが消費者を安心させるために山積みになった在庫を写真で見せていたTwitterが印象的です。
このトイレットペーパー買い占め騒動は日本だけではなく、米国やオーストラリア、シンガポール、香港にまで広がったようです。古今東西、人間の本質は変らないということですね。
買い占めの背景は“不安”
業界団体や政府も火消しに追われ冷静な対応を呼びかけるものの、品薄状態は解消されておりません。
今回の騒動を大半の人がデマとわかっているのに品薄状態が解消されないのは何故でしょうか?
くしくも、私の妻が語った“不安”にあるのだと思います。いつも溢れんばかりに陳列されている日常から商品がほとんどない陳列棚(非日常)を見れば不安に思います。デマとわかっていても他の人が慌てて買っているのを見ると、自分が本当に欲しいときに「買えないのでは」と不安に感じます。
買い占め行動には、合理的な理由よりも心理が大きく影響しているのだと思います。
結局、ある程度の買い溜めが広がり、ある一定の方々の不安心理が解消されるまで騒動は収まらないと思います。つまり、解決には時間を要するということです。
怖いのは不安に駆られた群集心理
現代の情報の拡散はSNS等により世界中の人に瞬時に大容量の情報の伝達を可能にしますのでこのようなパニック騒動は起きやすい環境と言えると思います。まして、新型コロナウィルスという未知な恐怖が広がっており、我々の不安心理は最高潮に達しております。今後もこのようなパニック騒動は散発的に且つ世界規模で起こるのではないかと危惧します。
理屈ではわかっていても不安に苛まれた心理は非合理的な判断を下します。そして、それが群集となると様々な惨事を引き起こします。
歴史を紐解けば1927年にも大きな惨事がありました。一大臣の失言から「銀行が危ない」という噂が拡散され銀行の取付け騒ぎが起こり、これが引き金となって「昭和金融恐慌」が発生しました。結果的に国の経済を大きく疲弊させることとなりました。
新型コロナウイルスが終息に向かわない限り我々を覆う不安は解消されず、パニックが起きやすい状況です。大事なことは耳に入ってくる情報を鵜呑みにせず冷静に常識的に取捨選択することだと思います。そして、常日頃から物心面で必要最低限度の準備をしておくことが肝要と考えます。
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