風吹けば桶屋が儲かる
風が吹けば砂塵が舞って視力を失う人が増える。視力を失った人は三味線引きで生計を立てようとするので三味線の需要が増加。三味線は猫の皮を使って作るので猫が大量に捕獲される。猫が減ると天敵のいなくったネズミが増える。ネズミが増えると桶をかじり、桶を新調する人が増えて桶屋が儲かる。
江戸時代の例え話です。
今では因果関係を無理やりこじつけている場合に使われる言葉ですが、ある一つの事象が意外な結果をもたらすことは往々にしてあります。
コロナが流行ると豆腐屋が儲かる!?
日本ではコロナ予防に納豆が良いということで一時、スーパーの棚から納豆が消えた時期がありました。
アメリカでは都市のロックダウンの影響で精肉加工工場がストップし、スーパーの精肉売り場から精肉が一時姿を消しました。
肉がなくてもタンパク質のとれる代替品として豆腐にアメリカ人は飛びついたそうです。コロナが流行ると豆腐屋が儲かるということです。
一方、日本では、今回のコロナ禍でデジタル化の遅滞が社会システム全体の問題として露呈しました。
定額給付金の申請を紙面で行ったり、コロナ感染患者の集計をFAXで行っていたり、一般社会ではリモートワーク中に稟議書類の“ハンコ”を押しに出勤するといったIT化の遅れからくる弊害が多くみられました。
国も企業もこれを機にIT化を進めており、ペーパーレス化による“脱ハンコ”が重要なテーマになっています。
これにより連綿と続いてきた日本の印鑑文化が衰退の危機に直面しているようです。
コロナが流行ると印鑑がなくなるといった感じでしょうか(印鑑に関連する業界の皆様、すみません)。
コロナが流行ると不動産業界は??
弊社の営業エリアという局地的な話になりますが、コロナによる影響は当然あります(ありました)。
コロナ感染症の拡大当初の3~5月は不動産の賃貸や売買はピタリと止まり、不動産業界への負の影響は当然と受け止めておりました。
ところが、リモートワークの普及、“3密”を意識した価値観の変化によるものだと思いますが、6月以降、戸建を探されるお客様が非常に増えました。
ここ最近も買い需要は旺盛だと思いますが、供給量は増えません。
コロナの状況を勘案した売り手が意図的に手控えていることもあると思いますが、需給バランスがやや崩れているように感じます。
本日現在、幕張本郷(1~7丁目;約1万世帯)地区の戸建売り物件は7件のみです(売地は12物件程)。
在庫僅少の状況でお客様にご案内できる物件が少なく、弊社としても困っております。
コロナの影響で地価が弱含むかと予想しておりましたが、地価への影響はあまり感じられず、考えをあらためる必要があるのではないかと思います。
バタフライエフェクト
可能性が低くくてもそれぞれに因果関係のある「風吹けば桶屋が儲かる」という言葉の一方で、微小なことが他へ影響し、それらが重なることで予測がつかないような事象がおきることを「バタフライエフェクト」と言うそうです。
“ブラジルの蝶の羽ばたきがテキサスにトルネードを巻き起こす” という考え方のようで一つの事象(原因)が結果に至るまでに予測のつかない複雑な要素が入り込むため原因と結果が理論的に説明できない状況を指すようです。
今回、コロナによる影響は様々なところに波及し、変化・変質していることもあります。ただ、それらは、今のところ理論的に説明のつく変化であると考えられます。
しかしながら、ほぼ1年も続くコロナの影響で心身ともに疲弊した人々、体力すり減らしているサービス産業(企業)、徐々に財政が悪化している自治体が増加する中で予測のつかない事態が生じる恐れがあるのではないかと危惧しております。
それは個人間から組織間、企業間、或いは国家間で起こりうるとも考えられます。
このコロナ禍により不動産業界にも予測不能な大変化が生じていないか、注視しております。
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