オフィス空室率24%の衝撃!!
先日、日経新聞に掲載されていた世界のオフィス空室率に驚きました。
コロナ感染症拡大下、在宅ワークが世界的に普及し、オフィス需要低下によるオフィスの空室率悪化は認識しておりましたが、あらためて事の深刻さを感じています。
空恐ろしい気分になるのは私だけでしょうか。
世界のオフィス空室率
近年の世界的な超低金利の金融緩和の情勢下、この数年間、その資金の多くが不動産に投下され、オフィスビルが大量供給されました。
そしてその上で、コロナ禍で在宅ワークが広がり、オフィス需要が急減、世界的にオフィス空室率が過去に類を見ない高さになっているようです。
上記の空室率は平均値ですから、サンフランシスコなどは半分ぐらい空いているオフィスビルがゴロゴロあるのではないでしょうか。
サンフランシスコのオフィス賃料はニューヨークに次ぐ高さだと言われているそうです・・・。
日本(東京)もオフィス空室率の上昇が問題視されていますが、それでも直近で東京23区は6%程、世界の中ではマイルドなほうですね。
在宅ワークの浸透度合いと空室率
日経の記事には各国の出社率も載っておりました。
これをみると在宅ワークが広く浸透している欧米の出社率が低く、反面、アジアは出社率が総じて高い印象です。
在宅ワークが浸透している度合いが強い欧米でのオフィス空室率がアジアよりも高くなっているのは、この辺りが大きい要因となるのでしょう。
欧米では個人の仕事内容と責任が明確に定められ、成果に対する報酬制度が定着していることから在宅ワークが浸透しやすく、オフィス需要が減少・空室率が増加ということでしょうか。
先行指標であるREITは大幅に下落
米国のREIT(上場不動産投資信託)が大幅に下落しています。
昨年以降の中央銀行による金融引き締め、景気減速懸念、長期金利の上昇等が要因と言われていますが、商業不動産(オフィス系)のREITに関しては空室率の上昇も大きな要因ではないかと思います。
現在、米国の商業不動産のREITの時価総額は、保有物件の価値に対して3割ほど安い水準に落ち込み、2008年の世界金融危機の時に近い水準になるほどの大幅な下落になっているようです。
これは、将来的に商業不動産(オフィス)の価値が大きく下落するということを示唆しているとも受け取れます。
米国の商業不動産市場は1兆ドル以上の価値があると推定され、これらの市場が大幅に下落すると、他の市場への影響は計り知れません。
日本にもある需給懸念
日本に目を向けてみれば都心オフィスビルの供給過剰を懸念した「2023年問題」が叫ばれています。
既に都心のオフィス空室率は6%と数年前の1%台から大幅に上昇しておりますが、今年2023年、2025年と例年の2倍を超えるオフィスビルが新設され、供給過剰がさらに加速すると危惧されております。
(日本のオフィス空室率は貸し手・借り手の均衡点が5%と見られており、空室率5%を超えるとテナントの優位(賃下げ)になると言われています)
世界各国固有の事情があるにせよ、オフィス需給は総じて供給過剰にあるようです。
世界の各都市のオフィス空室率を眺めていると暗澹たる気持ちになります。
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