ストックデールパラドックス
昔、何かの本で読んだことがあるこの言葉。
ベトナム戦争時に捕虜となり8年間という長きにわたって肉体的、精神的に追い詰めながらも最後には生還した米軍将校の経験からきた言葉です。
最近のニュースは朝から晩まで新型肺炎の話題で一色です。
この未知の不測自体だからこそ“ストックデールパラドックス”が生きてくるように感じます。
ストックデールパラドックス
ベトナム戦争では多くの米軍兵が捕虜となったそうですが、ジェームズ・ストックデール将校もその中の一人です。収容所での捕虜生活は苛烈を極め、何度もの拷問や独房での長期拘束を受けながら8年も生き抜き生還した人です。
彼は収容所での捕虜生活をのちにこう語っています。
収容所で最も早く死んでいったのは楽観主義者だ。彼らはクリスマスまでには出られると考えて(出られず)終わる。そして、復活祭までには出られると考えて終わる。そして、次はまたクリスマスと考え、失望が重なって死んでいった。
私は、(自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律を持ちつつ)最後には必ず出られるという確信を失うことはなかった。
「解放されるという確信」と「厳しい事実を直視すること」の2つが相反する行為ということでストックデールパラドックスと言われたようです。
楽観すぎるのも問題!?
一般的に悲観的な人より楽観的な人の方が好意的に見られます。また、何事にもポジティブで前向きな姿勢はビジネスマンとして必要な資質とも考えられます。ただ、単なる楽観主義は(誰かがなんとかしてくれるというような)他力本願的な面は否めません。つまり、楽観的な思考は実は問題の解決には向いていないということだと思います。
不測自体が生じた時は、ストックデール流の生還論で言えば付和雷同はせずに、一方で現実を直視して最悪を想定しつつ、問題が解決することを確信するということでしょうか。
非常にハードルが高いですね。
新型肺炎に関する最近の報道
最近のニュース等での識者のコメントがやや楽観的なように感じます。
不安の本質は不安となる事象の実態がわからないことです。実態がよくわからない中での楽観論は問題を意図的に矮小化をするためのコメントと受けとめられ、逆に不安が増大します。
この新型肺炎の全容”は見えていません。現在、世界中の研究機関が問題の解決に向き合って頑張ってくれています。
私たちは問題の全容(ワクチン開発含)が見えてくるまで、予防に努めるしかありません。
ストックデール流に最悪を想定しつつ問題は解決されると確信していきたいと思います。
皆様も人の集まる場所ではマスク装着、こまめに手洗い、うがい等お気を付けください。
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