コロナ災禍でパラダイムシフト!?「富士通、オフィス面積半減」!!
昨日の日経新聞に驚く記事がありました。
電機大手の富士通社が今後、わずか3年でオフィス面積を半減するそうです。
かなり衝撃のニュースだと思います。
令和2年7月4日の日経新聞記事「富士通、オフィス面積半減」
記事によりますと、「富士通は国内のグループ会社を含めたオフィススペースを今後3年メドに半減させる。(略)出社を前提とした働き方の見直しが広がる可能性がある」「オフィスは自社所有より賃貸が多い。賃貸契約の一部を解除することで賃料を削減する」という内容でした。
今後5年、10年ではなく3年で半減とはかなり衝撃を受けました。 賃貸しているオフィスは約380拠点あるそうです。
実現の可能性はどうなのか? 社員の方々(特に総務関係)は大変だろうなあ等と色々と考えさせられましたが、不動産業界への影響を考えますと切実な問題と感じております。
富士通社はコロナ感染症の拡大とともに以前から在宅勤務を進めていたようで、今回の決定はリモートワーク(在宅勤務)の労働生産性に問題はないという検証結果が背景にあるのだろうと考えられます。
リモートワークは世界的な潮流!?
今回のコロナ感染症の拡大でいち早くリモートワークを広げたのは米国でした。
Facebook社ではコロナ拡大が収まっても今後5~10年後には常時半数の従業員が在宅勤務とする方針、Twitter社は希望する人には永久的に在宅勤務を認める方針を発表しています。
また、米金融大手では(トレーダーを中心に)在宅勤務を進めており、在宅勤務下での業績にあまり影響はないようで、今後、オフィスでの勤務は半数以下におさえる意向のようです。
本日の日経では欧州でも在宅勤務が高い水準で維持している様子が載っております。
日本でのリモートワークはどこまで普及するのか?
みずほ総合研究所では現在の日本の在宅勤務可能な就業者は全体の3割程との試算を出しています(本日の日経新聞記事「在宅定着 ニッポンの壁」では在宅勤務可能な人の割合が47.2%というデータが記載されています)。
逆に言えば、日本の労働生産性を維持するためには7割前後の者が出勤せざるを得ないということです。
その点を見ると“リモートワークは時代のあだ花”なのかもしれませんが、私はまさに“パラダイムシフト”の渦中にいるのではないかと考えます。
今回のコロナ感染症による外出制限がいかに莫大な経済コストを要するのか経験しているだけに、今後、国や経済界もリモートワークを拡大する方向に向かうと想像できます。
勿論、業種や職務によって在宅勤務の可否がわかれると思います。また、移行に伴うコストや新たな人事評価制度の整備といった問題もあります。 (本日の日経新聞記事では、日本における在宅勤務の阻害要因に職種や雇用形態があるとしておりました)
しかし、リモートワークに適合するかどうかではなく、いかにリモートワークに適合させるかという時代に変わってくるのではないかと思います。
国や経済界がコロナ感染症との共存を踏まえて、現在の状況にアジャストしていく必要に迫られるということです。
不動産業界への影響
リモートワークが広がると「オフィス需要は縮小⇒商業地の地価が下落」といった単純な話ではないと思いますが、
仮に全就業者の1割がリモートワークとなった場合、東京都心のオフィス空室率(現在1.64%)は15%近くに上昇するという試算があります(日本総合研究所)。 ここ数ヶ月、オフィス空室率がジリジリと上昇してきていますのでこの辺りが影響しているのかもしれません。
商業地は店・ホテルやオフィス需要に支えられておりますので、オフィス空室率の上昇はネガティブ要素です。
一方、リモートワークの拡大で住宅地への影響はどうでしょうか。 在宅勤務ですから、自宅に仕事専用のスペース(部屋)を確保する必要があります。今回のことで在宅勤務を強いられた方が、仕事専用スペースがないためリビングで仕事をされているという報道もありました。
昨今の地価上昇で家選びは家の広さよりも通勤(時間)を優先してきましたが、家選びの考え方そのものが変わってくるかもしれません(その結果、不動産需要にも影響がでてくるかもしれません)。
今回のコロナ感染症の拡大で生活様式、仕事の進め方、果ては産業構造など様々な領域で不可逆的な変化が進んでいるように感じます。
今回の日経新聞記事は、その意味で非常にショッキングな記事だと思います。
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