【幕張本郷の不動産社長経験19】バブル崩壊前⑤
手付金の現金3,000万円持ち帰る
事業用地約200坪の売買契約日、買主と買主が依頼した設計事務所所長が手付金3,000万円を現金持参で売主事務所に到着。私が重要事項説明書と契約書の読み合わせをしようとした時、買主が「その前に確認したいことが有りますのでちょっとよろしいでしょうか?」と言われました。話を聞きましたら、買主は設計事務所所長と再度現地と市役所に行き、建築確認が下りる予定を確認してきたようでした。その際の役所の建築課の話だと「その場所は住民のマンション建築反対の要請が強い地区で住民への説明会後の承諾書取得などの事を考えると希望の年末までに建築確認書出せるか確約できない」と言われてきました。「売主と仲介業者連名で年末までに建築確認が下りる事を確約する書類出して欲しい、今回の契約はその確約書を頂くことが前提になる」と言いました。要するに事業用の買い替え期限に間に合わないリスクは負えないということでした。「確約書を頂ければ持参した手付金3,000万円お支払いしていきます」と言ってきましたが、「役所が確約出来ないのに、どうして我々が約束出来ると言いるか」となり色々話し合いましたが買主納得せず、結局カバンの中の現金3,000万円手付金は買主持ち帰りとなり契約は流れました。
売主烈火のごとく怒りだす
売主業者は契約が予定通り進み手付金を頂けば事業用資産の替えでローン条項無いので、次の仕入れも段取りもしていたがとん挫してしまったので、烈火のごとく怒り私に責任取って「お前が買え」と言って来る。銀行がお金を貸してくれたら当社が買いますが会社設立してまだ時間も経過してないし融資実績もないので無理でしょう、「売主業者に当社にに融資してくれる金融機関いるなら当社が買えます」と言って帰る。
当社の融資先探る
物件的には南6m公道、間口も広く、マンション、アパート、戸建て分譲にも適す申し分のない土地なので、何とか融資が付かないものかと考えていたところにノンバンク系の金融機関から声がかかってきました(私の懇意の実績有る業者が再販が上手くいかなかったら原価で引き取るからとプッシュしてくれていた)、当社応接室でノンバンク金融機関の会長と部長2人来社、面談ししました。5日後融資OKの連絡有り当社の必要書類揃えて14日後に金消契約迄完了する。
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最初の中型物件仕入れ
融資OKとなったので契約流れた仲介物件を当社が仕入れました。再販にあたり色々検討しましたが、東側を5m通路にしてワンルーム22戸4階建ての建築確認を取ることにしました、東側5m通路と南側6mの整形な土地50坪は残して後で販売する予定の為。
地域ぐるみで建築反対看板
最初の地主➡八千代市不動産業者➡仕入先不動産業者➡当社と所有権が移転するたびにそれぞれが建てようとする4~5階建てのお知らせ看板が立つとすぐ市役所に抗議の電話を入れて騒ぎ、現地周辺の道路にマンション反対の看板を30~40枚立てて抵抗する事が繰り返されてきました。
鉄骨現場監督10年経験、違反建築以外は建つ
私が監督した看板現場は①東京銀座4丁目コアビル②柏駅前そごうビル③川崎扇島日本鋼管工場④宇都宮東武デパートホテル等の増築工事です、「どんな条件でも建築確認が下りていれば建物は建てられる」事は実践してきましたので地域住民が騒いでも慌てる事はありませんでした、当社は市役所の指導の下自治会館で説明会を5回開き丁寧に悦明をしてその都度役所に報告してました。それでも役所はなかなか建築確認を下ろそうとしませんでした、地域住民騒動の方を8割向いていたからです。
県の建築審査会に訴える
役所としては建築確認を申請したら3~4週間で確認を下ろさなければならないルールが有ります、但し3階以上の建築物の場合地域住民に建築内容をお知らせ看板を立て知らせる義務があります、それを見た周辺住民から苦情や質問などある時は建築主が(設計事務所代行も有り)説明して納得して貰う、そうでないと役所に住民が押しかけて来て騒ぐと対応に苦慮するので、面倒くさい事、難しい事は全て民間に処理させたいという役所考え方が有ります。
当社の場合40日以上過ぎて、説明会も5回やって報告も役所に出しているのに建築確認を下ろそうとしないので、「設計士と2人で役所に行き後1週間以内に確認下ろさない時は県の建築審査課に異議申し立てする」場合によっては役所に損害賠償請求も考える。と通告するとその日から3~4日で建築確認は下りるて一段落する。
住民が裁判に訴えた
建築確認が下りて一息ついて再販先をどこにしようかと考えていたら、裁判所から住民からの訴訟書類が届く、対抗上当社も弁護士を依頼して裁判が始まる、私は建築確認取得しているので、恐れる事は全くないのですが早く決着しないと再販できないので金利支払いが多くなるのと、次の物件を買えないので良い悪いは別として1日も早い解決策を考えるのみでした。途中経過は長くなるので省くことにして結果は当社の勝訴で終わりました。しかし弁護士に支払ったお金や時間は返ってきません、そこで弁護士に当社が勝訴したのだから、相手方に「今迄かかった手間暇やお金の合計の倍額を支払え」と訴訟を起こしたいが受けてくれますか?と聞くと「やめた方が良い、費用の倍額を仮に取れたとしても私に払う費用も倍になり裁判日数も倍になるので、精神的負担や打ち合わせに取られる時間などを考えるとお勧めできない、もう過ぎた事と忘れてスッキリと気持ちを切り替えて、次の仕事をした方がどんなに会社としてプラスになるかしれない」と諭され訴訟起こすことをやめる。
達成感を味わう
裁判に勝訴したので、当社としては再販相手を選べる状況になりました。結果は懇意の業者に建築確認付きの土地売買となり契約、決済と終わることができました。
地主➡不動産業者➡不動産業者と3社が建築計画を実行出来なかった事を、私は確信をもって建築確認を取得し再販出来た事に満足していました。これは私が八戸工業高校卒業後10年間鉄骨工事専門メーカー(大手ゼネコン1次下請け会社)に勤務して南は四国の松山から北は栃木県宇都宮迄現場監督として現場廻りをしてきた経験がどこかで生きていたと思っています。
この後間もなくバブル崩壊する
続きは長くなるので又機会に報告しますします。
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