掘り出し物の物件はあるのか?
過去のお客様で掘り出し物の物件を探し続けている方がおりました。
色々な不動産会社に接触して資料を請求していたようです。そして寝る前にパソコンで不動産サイトを巡回するのが日課になっていたようです。
結局、その方が掘り出しものを探り当てたのか、不動産を購入したのかわかりません。
ただ、ここで疑問に感じるのは「不動産物件で掘り出しものはあるのか?」ということです。
今日は不動産市場において掘り出し物があるのか?という点について考えてみようと思います。
最近では不動産業者も個人も持てる情報量に差がない?
現在はインターネットが普及し誰でも様々な情報にアクセスできる時代です。不動産の物件情報も検索すれば多くの物件情報に触れることができます。おそらく、最近では個人の方と不動産業者ではアクセスできる情報量にそれほど差がないと思います。特定のエリア、特定の物件に限定すると業者よりも個人の方の方がよく知っているなんてこともあったりします。ですから不動産業者に直接コンタクトしなくてもインターネットの情報をチェックしていれば掘り出し物がでてくるとお考えになるかもしれません。
しかし、個人の方が目にする物件情報は不動産会社がSUUMOやHOME’S等の大手ポータルサイトに載せたものです。言い換えると、個人の方が目にする物件情報は必ず不動産業者の目に触れた物件であるわけです。不動産業者の目に触れた物件で掘り出し物が出てくる可能性はかなり低いと考えるべきです。理屈はシンプルです。あればサイト掲載前に不動産業者が購入するからです。
皆様も各種サイトで物件をご覧になって「安い!!」と感じましたら、その物件には何か問題があると理解していただいた方がよいと思います。
鵜の目鷹の目で物件を探す不動産業者
不動産業者の中には弊社も含めまして自社で物件を仕入れて建売や売建を行う業者もおります。こういった業者は毎日物件情報に目を通して良質物件を探しております。
仮に掘り出し物が出てきたとしてもこういった業者が即買いしていきます。売主からすると売却後にトラブルが比較的少ない業者を優先することもうなづけます。
掘り出しもの物件はほとんどありません。
掘り出し物の定義は何かという問題はありますが、相場に比べて格段に安い物件はありません。
こう言ってしまっては身も蓋もありませんが、買い側が一円でも安く買いたいと思う一方で売り側は一円でも高く売りたいと思うのは当然のことです。値決めは売主が行いますが、売却の依頼を受けた不動産会社が地域の売買実績や相場を勘案して査定しておりますので相場比極端な差が生じることはほとんどありません。
勿論、相続や経済事情を背景に価格よりも時間を優先される売主もおりますが、このような場合は市場に出る前に業者が購入してしまいます。
掘り出しものはないけど良質な物件はあります!
相場に比べて格段に安いという物件はないと考えて差し支えありません。
しかし、相場に比べて割安な物件は稀にでてきます。
ここでいう割安とは業者が仕入れリスクを負って購入するほど安くないというもので、相場に比べて(感覚的ですが)数%程度安いというレベルです。
このような物件を“良質物件”としますが、良質物件は稀に市場に出てくることはあります。
ただし、不動産の仲介会社も多くおりますので、各仲介会社がそれぞれのお客様に紹介する等、仲介会社間の争奪戦の中あっという間に売れていきます。
良質な物件を購入するために
仲介会社間の争奪戦も突き詰めれば営業担当者間の争奪戦です。
そこは極めて属人的な話です。営業担当者は営業成績をいかに効率的に上げていくかが至上命題です。良質な物件が出た時、営業担当者の頭の中には何人かのお客様の顔が浮かびます。そして、どのお客様にご案内するのか考えます。極論しますとどの方に案内するのが効率的に営業成績に直結するかという考えになります。事前に物件の条件をシンプル、明確にしている方の場合は「あのお客様の希望条件にピッタリだな」とイメージできます。また、即断できる方でないと他の仲介会社にとられてしまいますから「あの方は既に別の物件でローンが通っていたな」と考え、契約の実現性の高い人の顔が浮かぶわけです。
お客様によっては「何か良い物件はないですか?」と漠然としたご依頼を頂く場合がありますが、営業担当者からしますと急ぎ対応する物件の場合、このようなお客様はご案内する先として選択肢から外れてしまいます。
つまり、良質な物件を購入する条件としては
① 不動産会社に対してご自身の希望物件を明確に具体的に伝える
② ご自身がどれだけローンを組むことが出来るか事前に把握しておく
ことが肝要です。これらを営業担当者の頭の中に事前に刷り込んでおくということです。
青い鳥はいない
童話“青い鳥”のように理想を探し続けても生産的ではありません。
大切なことはご家族にとって最も必要なタイミングで適正な物件(良質な物件)を適正な価格で購入するということだと思います。
大手ポータルサイトに掲載されている物件だから問題はないと思われがちですが、再建築不可の物件や建築するのに思わぬ出費を強いられるもの等々、問題のある物件もあります。
不動産は個々異なり、それぞれしっかりと調査することが重要です。
そして、ダメな物件はダメとはっきりとアドバイスする信頼できる専門家と検討されるべきだと思います。
関連した記事を読む
- 2024/10/05
- 2024/09/28
- 2024/09/21
- 2024/09/15