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2019年09月08日
ブログ

業者から見た物件査定についての所感(その②)

昨日のブログ記事の続きです。
大手財閥系の仲介会社に最後の“おいしいところ”を持っていかれた恥ずかしい過去の話ですが、ここで言いたかったのは、お客様の希望の売価があったとしても結局は相場に収斂するということ、また、媒介(売却引受)を取りたいがために査定価格を高値で誘導する傾向が業界にはあるということです。
今日は、そのあたりの理由とその背景にある仲介の仕組みについてお話したいと思います。

不動産売買における仲介の仕組み

不動産を売却しようと考えた時に売却を依頼するのが不動産会社です。これを元付仲介といいます。逆に不動産を購入しようと考えた時に物件紹介・案内を依頼するのも不動産会社です。これを客付仲介といいます。元付会社が買い手を探し出し、売り手と買い手の両方の仲介(両手仲介)を行うこともあります。
下記の図をご覧になるとお分かり頂けると思いますが、元付仲介は媒介契約(売却依頼)が切られなければ最終的には必ず仲介手数料は頂けます。“両手仲介”が成立しますと元付仲介は2倍の収入が得られることになります。
一方、客付仲介は物件が他に取られてしまったり、お客様が他社に移ってしまっては最終的には何も得られません。不動産仲介は売主を抑えたところが強いわけです。費用対効果、営業効率からして仲介会社が売却の媒介をとるために必死になるのは理解できますよね。

両手仲介について

本来、元付仲介は売主の立場にたって売主の利益を優先し、逆に客付仲介は買主の利益を優先します。売主は「より高く売りたい」と希望し、買主は「安く買いたい」と考えますのでお互いの利益が相反する立場にあります。両手仲介になると仲介会社の立場は①どちらの利益も優先せず公平の立場に立つ、②どちらかの利益を優先する のいずれかになります。要するに、仲介会社として顧客の利益を優先するという立場にはなれないと読み代えることができます。これを法律上利益相反行為といいます。日本以外の諸外国では「両手仲介」を禁止としている国も多く、アメリカでは、州法で半数以上の州がこれを禁じているようです。
売主の条件どおりに買い手が見つかればよいですが、仲介会社の傾向として両手仲介を目前とすると、買主の意向を優先して値引してでも売買を成立させようとすることが多いです。さらに、両手仲介成立させるため他の(客付)仲介会社から物件を囲い込み、売主にとっての機会損失や経済損失を生じさせる元付業者がいることも否めません。


この両手仲介は大手仲介会社の方がより顕著な傾向があります。以下の記事をご覧いただきますと計数面ではっきりとします。両手仲介の是非についてはここで論じるつもりはありませんが、残念ながら大手中心に両手仲介を前提とした営業が横行しており、言い換えれば、売主から売却の媒介をとることが優先され、引いては査定価格の高値誘導、「とりあえず媒介を取る」といった姿勢になる傾向があると思います。

【ご参考記事】

ダイヤモンド不動産研究所「大手不動産仲介会社は、「両手取引」が蔓延?!
https://diamond-fudosan.jp/articles/-/148998

レインズは不動産会社にとって情報の源泉

話は変わりますが、元付仲介は売却の依頼を受け販売活動を進めるわけですが、その際、物件情報をレインズ(注1)に掲載します。売却依頼のあった物件は(掲載前に売れてしまう物件は除き)ほぼ全ての物件が掲載されます。不動産取引を行う上での情報の源泉はレインズなのです。これは大手であろうと中小零細であろうと同じです。会社の看板や店構えは異なっても情報の根っこは繋がっており、情報量も基本的には大手も中小も両社にそれほど差異はありません。
余談になりますが、レインズの存在を知るお客様の中には「非公開物件(レインズ未掲載)を紹介してください」という方がおります。理由を聞いてみると「掘り出し物の物件は公開されていないから」とおっしゃります。全てとは言いませんが、非公開の物件は業者が希少性をだすために意図的に非公開にしているもので根底には両手仲介にしたいという思惑があります。以前のブログでも書きましたが、掘り出し物の物件はレインズに“載せない” のではなく載せる前に業者が買い取ってしまいます。

(注1)レインズとは・・・正式名称はReal Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)で、その頭文字をとってレインズ(REINS)と呼んでいます。ほとんど全ての不動産会社が加盟しており、売却の依頼を受けた物件はこのレインズに掲載されます。

大手も中小も同じ情報を利用して査定している!?

物件を査定する場合、①取引事例比較法、②原価法、③収益還元法の3つの方法がありますが、実務的には①取引事例比較法を主体に行います査定物件の近隣で取引された事例をもとに行う方法ですが、近隣で売りに出ている物件価格も重視します。なぜなら近隣物件は競合物件でもあり、それらの物件の売出価格を大きく上回る価格では売れません。周辺の過去の取引実績や売り出し中の物件を見ながら査定するわけですが、その際、利用するのがレインズです。これは大手も中小も変わりません。言い換えれば、査定価格は同じ情報を利用しているため、業者間の査定価格は本来的には大きな差が生じにくいのです
買い手は1円でも安く買いたいと考えて物件を探しております。大手であれば信用力や大組織の営業力で高値で売却してもらえると期待する方もいるかもしれませんが、信用力や営業力だけでは相場以上の価格で売却することは難しいわけです。

ましてや両手仲介を目論む仲介会社であれば高く売るどころか、買主優先の値下げを強いられることもあります
                                                                                                              →次回ブログ記事に続きます。

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