お宅のブロック塀は大丈夫?
前回記事で民法717条「土地工作物責任」についてお話ししました。
今回はこの法律に基づくリスクを少し広げてみてみたいと思います。
土地工作物責任はどこにでもあるリスク
民法717条の土地工作物とは、塀や擁壁、建物等が該当します。ご自宅やご所有の物件が他人に損害を与えた場合、皆様も責任を負う立場になるということです。
記憶に新しいところでは、2016年4月の熊本地震、2018年6月の大阪北部地震のいずれもブロック塀倒壊による死傷事故があり、ブロック塀の所有者が損害賠償請求の訴訟を起こされています。
身の回りにあるブロック塀の実態
熊本地震においてはその後の調査で驚愕すべき事実が発覚しました。
以下は当時の新聞記事です。
『熊本地震で大きな被害が出た熊本県益城町で、住宅などのブロック塀の9割が国の技術基準を満たさず、うち約75%が倒壊したとの調査結果を、福岡大の古賀一八教授(建築防災学)がまとめた。』(2017年3月 朝日新聞)
仮に関東で調査を行えば、結果が変わってくるかもしれませんが、周囲を見渡すと問題ありそうなブロック塀は散見されます。
お宅のブロック塀大丈夫でしょうか?
コンクリートブロック塀の建築基準
コンクリートブロック塀の建築基準については建築基準法施行令によって定められています。
元々、1971年に建築基準法が改正されコンクリートブロック塀の建築基準が制定され、その後、大きな震災被害を経験するたびに改正され、現在に至っております(建築基準の詳細についてはこちらをご覧ください)。
上述の通り建築基準は時を経るに従い厳しくなっておりますので建築当時に法令上適法の構築物でも現在の法令では違法となるケースもあります。こうした物件を“既存不適格物件”と言いますが、現法令に適した物件に作り直す義務はありませんし、違法建築とは異なる扱いをします。
こうして、現法令の基準には満たない古い、危険なコンクリートブロック塀が多く存在することとなるのです。
お宅のブロック塀をチェックしてみましょう
お宅にブロック塀がありましたら一度確認してみて下さい。
国土交通省がチェックする基準を公表しておりました。
もし、確認項目の中に一つでも該当するものがあれば対策を考える必要があるかもしれません。
千葉市では危険なブロック塀撤去の補助金制度があります
危険なブロック塀については千葉市を含め様々な自治体で撤去(或いは新設)に要する費用を補助金として支援しております。
千葉市、習志野市では以下の通りです。
今後30年間で首都直下型の地震が70%の確率で起こると言われています。
いつ起きるかわかりませんが、今までの震災から考えますと死傷者の大半は建物損壊によるもので、中でもブロック塀による被害は相当と予想されます。
この時、仮に他人へ損害を与えた場合、現行基準を満たしているブロック塀であれば不可抗力として免責されると考えられますが、現法令の基準に満たないブロック塀(既存不適格物件等)は免責される可能性は低いものとなると思います。
今一度、ご自宅の塀を確認してみてはいかがでしょうか?
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