[2020年4月 民法改正」賃貸においては何が変わるの?(その④・⑤)
“POINT4と5”敷金と現状回復について
敷金の精算と現状回復については、現行の民法に明文化されたところはありませんでした。これまでは、いわゆる「東京ルール」、国土交通省の「現状回復ガイドライン」や、判例などに沿ったものが指針とされてきたからです。
改正後の賃借人の原状回復義務
第621条
賃借人は、賃借物を受け取った後に、これに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損傷なら並びに賃借物の経年劣化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときには、その損傷を現状に復す義務を負う。但し、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものである時は、この限りではない。
通常の使用収益によって生じた賃借物の損傷及び賃借物の経年変化を除くと明文化されました。通常損耗も賃借人に原状回復義務を負担させる特約の締結は可能です。但し、特約が具体的に明記されて、合意されていることが必要です。
改正後の「敷金」
第622条(改正後)
1 敷金ほ、いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生じる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において敷金を受け取っている場合において次に掲げる時は賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とす債務の額を控除した残額を返還しなしなければならない。
一 新貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸者に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しない時は、敷金をその債務の弁済に充てる事が出来る。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てる事を請求する事はできない。
旧法は敷金の敷金返還義務の発生時期、担保の範囲等は定義等規定しておらず、賃貸借契約が終了し、賃借物を明け渡した時や、賃借人が賃借権を譲渡したときに敷金返還請求権が発生する旨を規定。賃借人の債務を控除したのちに返還する。敷引等により差引く通常損耗や経年変化の合意内容が明確である事。
契約社会
これからの契約は想定されることは全て織り込んでの契約書を作成しなければなりません。契約書が何ページにも渡って厚みのある契約書になるでしょう。借主側も、要点は抑えておかないと、「聞いてなかった・・。」などと言えない事にでもなりかねません。このたびの賃料減額の規定が出来たことにより、お金で解決できるのであれば、貸主、借主にとってもある意味お互いにプラスになったと思います。借主は故障・破損がが発生したら、オーナー又は管理会社に早急に連絡をし、貸主は誠心誠意対応して借主との信頼関係を構築し減額請求にいたらないように努めてほしいものです。
今回で改正民法については、終了いたします。
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