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2020年06月29日
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 【令和2年度税制改正】所有者不明の土地を抑制する!?低未利用土地の特別控除

現在、国内の所有者不明の土地が410万haあるという試算があるそうです。

これはなんと、九州本島の面積(368万ha)をも超える広さです。

適切に相続登記が行われないことで所有者不明の土地となるわけですが、これらの土地の増加は、資産価値が低く、利用価値の乏しい不動産が増えたことも理由の一つです。

政府はこれらの不動産の増加を抑制するべく、今年の税制改正で「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置」を創設しました。
(令和2年7月1日から令和4年12月31日までの時限立法となります。)

低未利用土地の特別控除とは

本特例措置は譲渡価額が500万円以下の低額な一定の低未利用土地等を譲渡(売却)した場合に、長期譲渡所得から100万円を控除する制度です。

要するに売却した時に(利益が出れば)譲渡所得税が安くなるということです。

所有者不明の土地になる前に低未利用地の売却を促すための制度です。

詳細はこちら

本制度を利用するための要件

この制度には以下の適用要件があります。

1.売却した者が個人であること

2.低未利用土地等であることについて、市区町村長の確認がされたもの。

3.譲渡後に買主が利用の意向を有することについて、市区町村長の確認がされたもの。

4.売却の年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの売却であること

5.土地とその上物の売却価額の合計が500万円以下であること

具体的にどれだけ税金が安くなるの?

勿論、売却価格>取得価格となるように売却利益が出ることが前提になりますが、
具体的な計算式は以下の通りです。

計算式:{売却金額※1―取得価格※2―特別控除額(100万円)}

                      × 所得税&住民税他20.315%

※1売却金額は売却に伴って生じた費用(仲介手数料等)を控除できます。
※2取得価格には取得に伴って生じた費用を加算できます。

要するに、税金は最大で20万3,150円(控除額100万円×20.315%)安くなるということですね。

・・・売却益が出る場合ですが。

500万円以下という縛り、果たして需要はあるのか?

売却価格が500万円以下という条件がつきます。

郊外の空き地や空き家が対象になるわけですが、正直、これを見た時に500万円で売却して利益が出る物件は果たしてどれだけあるのか疑問に感じました。

先祖代々の土地で取得費が不明な土地や取得費を証明できる書類(売買契約書)を紛失してしまった等、「概算取得費」※3を使用せざるを得ないケースに限定されるのではと思います。

また、適用要件として“低未利用土地等であることを市区町村長の確認”とありますが、その判断基準が不明瞭な点もあります。
率直に言って本制度がうまく機能するとは思えません。



※3 概算取得費・・・税法には「概算取得費」という考え方があります。
取得費が不明であったり、取得費を証明する書類(売買契約書等)を紛失してしまった場合、売却金額の5%を「概算取得費」とする制度です。

つまり、買った時の値段がわからない(証明できない)場合、売却金額の95%に課税されてしまうということです。

所有者不明の土地の本質的な問題

所有者不明の土地を抑制するために最も大切なことは“相続登記の義務化”を実現することです。

現在、政府では相続登記の義務化に向けて法案作成の準備に入っているようですが、実現されるとかなり抑制できると期待しております。

この所有者不明の土地の本質的な問題は、500万円以下の郊外の土地ではなくむしろ都市部の土地にあると思います。

所有者不明の土地があるが故に、その辺一帯の再開発が滞ったり、或いは放置された隣地を購入したくても接触窓口がわからない、私道の使用について承諾を誰に貰えばよいかわからない等々、弊社の日常的な営業の中ですら弊害となることもあります。

これら土地の所有者がわからないことによる経済的損失は、今後20年で6兆円という試算もあるほどです。

郊外の放置された不動産も解消してく必要があるとは思いますが、優先されるべきは都市部の所有者不明の土地です。

こちらの方に優先的に政治的リソースを割くべきだと感じております。

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