築後20年で価格がゼロになる!?~戸建の建物価格の不思議②
前回からの続きです。
一般的に法定耐用年数を経過する“物”は価値が見込めなくなるのでしょうか?
法定耐用年数を経過する“物”は価値がないのか?
自動車の法定耐用年数は6年(軽自動車で4年)です。では6年落ちの自動車の価値はゼロでしょうか?
技術革新の激しいパソコンの法定耐用年数は4年です(少額資産償却は除外)。4年落ちのパソコンは無価値と言えるでしょうか?
会計上の法定耐用年数はその“物”の寿命ではありません。法定耐用年数と実際の価値は本来、別のものです。
現在、日本において築20年、築30年の住宅が何百万棟とありますが、それらの住宅(建物)は価値がないのでしょうか?
そんなことはありません、(多くの地震や多湿な環境でも)住宅として全く問題なく使用しているわけで経済的価値は十分あります。
では何故、日本の中古住宅価格(建物)は法定耐用年数を超えると限りなくゼロに近づくのでしょうか。
何故、法定耐用年数を超えると価格がゼロに近づくのか
新築偏重の行政の住宅優遇制度や新築販売にのみ傾倒してきたハウスメーカーの企業戦略等々によって中古市場がしっかりと育ってこなかったことも背景にあると思います。
しかし、個人的には金融機関の担保評価制度に代表される「原価法」に起因していると考えます。
この評価方法では建物は「木造住宅22年」という法定耐用年数をベースに行います。
新築時から22年後の(ほぼ)ゼロに向けて価値が均等に低減していく考え方です。
その間、どれだけリフォームを行っても、しっかりと維持管理してきても個別要素は考慮しません。
残念ながら(弊社を含む)不動産業界もこの評価方法に影響され、査定を行っております。
勿論、不動産業者の査定の現場では、間取、リフォーム歴やハウスメーカー等によって査定額が変わってきます。
しかし、これら築年数以外の要素が査定価格に“大きく”影響を及ぼすことはほとんどありません。
こうして中古市場における戸建の評価には価値と価格に乖離が生じ、構造的な歪みを作り出すことになります。
因みに、米国では法定耐用年数(木造家屋27.5年)はあくまでも会計上・税務上の取り扱いであり、住宅の価値は使用価値で査定されます。
(米国では築50年の家を購入してもそこから27.5年の償却を行います)
価値と価格の構造的歪みを是正するためには
100年住宅、200年住宅など“長期優良住宅”を国や国交省が推奨しておりますが、現行の査定方法が変わらない限り、長期優良住宅であっても築20年を経過すれば価値は低いものになります。
単純に法定耐用年数を実勢に併せて30年や35年に変更すれば良いと考えることはできますが、企業会計や税務にも係わってきますので難しいと思います。
欧米の不動産市場のように中古物件の流通に厚みが増し、取引実績を積み上げていかなければ、経済的価値、使用価値を反映した査定方法の確立は難しいように感じます。
(今の状態では、資産防衛という点だけを見れば土地代の割合が高い戸建てを買い、建物の減価分を相対的に抑えるという考え方が合理的となります)
<最後に>価値と価格の構造的歪みを利用しよう
実際の価値よりも安い価格で購入できるという構造的歪みが存在するなら、これを利用しない手はありません。
つまり、築10~15年あたりの中古戸建を購入することです。
(木造建築においては2000年に耐震基準が改定されていますので、できれば築20年内がよいかと思います)
土地値+αで家が購入できますので最も経済的な購入方法ではないでしょうか。
リフォーム費用は当然掛かりますが、それらを含めても経済的な価格で購入できると思います。
ただし、同じ築年数でも物件によって状態が大きく異なります。
この辺りは不動産業者のアドバイスを受けながらしっかりと選別していく必要はあります。
弊社としてはやみくもに中古物件を勧めることはしませんが、家選びで経済性を重視する方からすると中古戸建は良い選択肢になるのではないかと思います。
幕張本郷、幕張、検見川、稲毛周辺で物件をお探しの方は、
是非、弊社までご相談ください。
関連した記事を読む
- 2024/10/05
- 2024/09/28
- 2024/09/21
- 2024/09/15