規制改革は進むのか!?目指すデジタル化!
昨日の日経新聞に政府の規制改革推進会議で(官民双方の)デジタル化を阻害する規制撤廃について本格的に議論を進める旨の記事が出ておりました。
菅政権では、このデジタル化を中心にした規制改革を「政権のど真ん中に置く」と表明し、最重要政策と位置付けております。
デジタル化で代替できるものから撤廃!
政府は行政手続きや民間で法的に書面(押印)や対面での対応を義務つけている規制に関してデジタル化で代替できるものから(以下のとおり)段階的に撤廃する検討に入ったと報じております。
第一段階 押印廃止(行政手続き上の書面の押印廃止)
第二段階 書面・対面の撤廃
・不動産売買時の重要事項説明書の書面交付 他
第三段階 常駐の禁止(産業医、薬局の薬剤師等)
第四段階 支払いのデジタル化
時間軸はわかりませんが、かなり踏み込んで規制改革を進める意向はあるようです。
第二段階では不動産売買時の重要事項説明書の書面、交付となっており、所謂IT重説を前提にした撤廃だと思います。
IT重説
過去、重要事項説明は宅建士がお客様と対面で行うこととされていましたが、平成29年10月より賃貸契約においてはスマホやPCのテレビ電話機能を利用してオンライン(非対面)で行うことが出来るようになりました。
契約場所に行く手間を省き、時間の調整が容易でもあり、まさに効率を優先させた方法というわけです。
一方、売買契約については未だ認められておりません。国交省で特定事業者に限定して売買のIT重説に係る社会実験を行っているものの、売買は金額が多額になることから慎重な姿勢を崩しておりません。
今回の規制改革によって売買のIT重説解禁のタイミングが早まるのではないかと思います。
余談ですが、何千万、何億もする不動産の売買(重説)をオンラインで行う方がどれだけいるのかという疑問はあります。
当然、売買のIT重説が認められるようになっても、対面式と併用して行われるはずです。
私の感覚が古いのかもしれませんが、自身に置き換えてみれば不動産を購入する場合、IT重説よりも対面式を希望すると思います。
人は物事に優先順位をつけて手間を省き、効率を考えて行動するわけですが、何千万の不動産を購入することよりも優先順位が高いものはないように感じます
(賃貸に関してはIT重説の需要は相応にあると思います)。
<重要事項説明とは>
不動産の売買や賃貸契約を交わす前に必ず行うのが“重要事項説明”です。不動産は一般的に高額な商品ですので契約後のトラブルを未然に防ぐために、重要な事柄しっかりと説明することを法律的に義務付けられております。重要事項の説明および当該書面への記名押印は、宅地建物取引士が行うこととされており、対面で行うこととされています。
デジタル社会の到来は歓迎しますが・・・
日本はデジタル後進国と言われ、競合国の後塵を拝する状況です。
そのため否応なく国内のデジタル化を進めて労働生産性を高めて、世界各国との競争力を高めていく必要があります。
それ故、菅政権のデジタル化への規制改革は歓迎しますが、一方でデジタル化の負の側面もあるように感じます。
日経新聞の記事にデジタル化を進めることで行政の2兆円の経費を削減できると書かれていましたが、経費削減自体は歓迎です。
しかし、その2兆円は製紙会社や印刷会社、中小零細企業等の売上の積み上げ(商圏)と見ることもできます。
デジタル化を進めることで官民でどれだけの商圏が消失するのかという疑問もわきます。
産業史は様々な業界の栄枯盛衰の歴史です。
ある産業が衰退すると新たな産業が興り、雇用の受け皿となって拡大し、社会の革新が進みます。
その意味では、デジタル化が進めば新たな産業が興り拡大すると思います。
しかし、その産業分野に日本企業の入る余地があるか否かは別の問題です。
過去、電子商取引が社会に浸透していく中でAMAZONの売上増加に伴い町の本屋さんがバタバタと消えていったのは記憶に新しいところです。
昨今のGAFAを筆頭としたデジタル経済を見ておりますと日本は一方的に雇用を喪失していくのではないかと一瞬、頭をよぎりました。
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