アパートで借主が怪我! 責任は誰に!?
先日、北海道苫小牧市の賃貸アパートで2階共用廊下が崩落し、5人が重軽傷を負う事故がありました。
築25年程のアパートで共用廊下の腐食が原因のようです。
この場合の責任は誰にあるのでしょうか。
賃貸物件における借主の事故とその責任
大家さんは賃貸契約に基づき借主に対して物件を使用/利用可能な状態にする義務があり、一方で借主はその対価として家賃を支払う義務が生じます。
仮に、賃貸物件における事故が大家さんの過失(例、適正に管理していない等)によって生じた場合、民法第415 条(債務不履行責任) 民法第709条(不法行為による損害賠償)に従い、大家さんは被害者(借主)に対して損害賠償責任を負うことになります。
他方、その事故原因が建築請負業者の手抜き工事であった場合、責められるべきは建築請負業者であるものの、法律上は所有者(=大家さん)が被害者に対してその損害を賠償する責任を負うとしております。⇒ 民法717条「建物所有者の構造物責任」
つまり、どういう形にせよ、物件を適切に管理していないことが原因であった場合、大家さんが損害賠償責任を負うことになります。
大家さんも定期的にご自身の物件をチェックしてください
築25年で共用廊下の床が抜け落ちると聞くと「ドキッ」する大家さんもいらっしゃるのではありませんか。
近隣に目を見渡せば築25年以上のアパートは無数にあります。
苫小牧市のアパートについては海に近い立地でもあり、塩害により腐食が進んだと見ることはできますが、それでも築25年での事故は大家さんにとって示唆に富んだ話ではないでしょうか。
物件の管理を不動産会社に丸投げするのではなく、大家さんも定期的にご自身の物件をチェックし、異変があれば対策を講じることが重要だと思います。
施設賠償責任保険には入っておきましょう!!
事故は基本的に予測できませんし、不可抗力な事故もあります。
事故のリスクをヘッジするためには、保険の活用が一番です。
苫小牧市にような事故を対象とした保険もあります。
既に加入している大家さんもいると思いますが、「施設賠償責任保険」というものです。
「施設賠償責任保険」は、経営しているアパートやマンションの欠陥や管理不備により他人にケガを負わせてしまった場合や他人の物を壊してしまった場合に支払うことになる損害賠償額等を補償してくれる保険です。
補償される内容は、損害賠償金、損害を防ぐためにかかった費用、事故発生時の応急手当等の費用、裁判等にかかった費用等多岐に渡ります。
加えて保険料が安いのがこの保険の特徴です。
補償内容にもよりますが、補償される金額1億円の設定でも年間保険料は数千円程度となる商品が多いです(火災保険の特約として付ける場合、保険料は安いです)
賃貸物件を購入される際に必ず入るのが火災保険や地震保険ですが、特に築古のアパートやマンションの大家さんには「施設賠償責任保険」も必須の保険としてお勧めします。
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