人口動態から見る不動産の未来(その②)
<前回までの要点>
◆人口予測はあらゆる予測の中で最も精度の高いものである。
◆日本の将来推計人口は急速な減少となっており、これは約束された将来である。
◆人口減少といっても2065年で8800万人規模。他の先進国と比較しても遜色ない水準。
◆日本の人口問題の本質は数ではなく、高齢化にある。
日本の高齢化率は世界一!!
将来人口推計値と同じように予測精度が高いのは将来の人口構成割合です。
現状の日本の高齢化率(65歳以上の割合)は28.8%と世界でもダントツで高い水準にあります。
国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)が予測する2065年の高齢化率は38.4%と実に約4割の水準まで上がります。なんと、この2065年に最も多い年齢層は86歳だそうです!?
高齢化率が高まるということは、逆に働き手の減少を意味しております。
これを顕著に示しているのが生産年齢人口の推移です。生産年齢人口とは15歳から65歳までの労働に従事できる年齢の人口を指します。生産年齢人口は1995年に8,726万人となっておりましたが、2015年には7,728万人と既にピークから1,000万人減少しております。IPSSの予測する2065年の日本の生産年齢人口は4,529万人です。これからわずか40年足らずでピーク時の半分になるということです。
残念ながら千葉市花見川区、稲毛区、美浜区もほぼ同じです。
以下は日本及び千葉市花見川区、稲毛区、美浜区の生産年齢人口の推移です。
迫り来る高齢化社会の恐怖
生産年齢人口層は不動産業界で言えば、大学生や社会人になって1Rや1Kのアパートを借りる方、結婚して2DK~3LDKのアパート・マンションに引っ越す方、新築の住宅を購入する方々、退職金を貰って家のリフォームをする方々です。不動産業界の“需要”の大半を占めるコア層です。
あと40数年という短期間で不動産業としての仕事の需要が半減するともいえ、空恐ろしい気持ちになります。
住宅着工件数にみる業界縮小の一例
今から10~20年ほど前(2000年~2008年)の新設住宅着工件数は平均すると120万件程で推移しておりましたが、現在では90万戸まで減少しております。野村総合研究所の予測では2030年には63万戸としております。今から10年後には人口減少前の時代に比べて市場が半減するということでもあります。
昨今、いわゆるパワービルダーと言われる低価格建売住宅メーカーが各地で建設戸数を競い合っておりますが、近い将来、シェア至上主義的な経営の限界がくるかもしれません。
おそらく将来的には規模の利益を追求する時代は終焉も迎えるのでは感じます。
需要(生産年齢人口)の減少は市場規模にもダイレクトに影響を及ぼします。
そして、当然ながら“需要”の減少は不動産価値の長期的な下落圧力を増大させます。
さらに需要(生産年齢人口)が急速に減少していっても不動産業者が同じペースで少なくなるわけではありません。業界的には激しい過当競争が進み激烈な業者淘汰の波があらわれると容易に想像できます。
⇒明日のブログに続きます
関連した記事を読む
- 2024/10/05
- 2024/09/28
- 2024/09/21
- 2024/09/15