【幕張本郷の不動産社長経験2】「脂汗まみれ手付金200万円」
「家は一生に一度の買い物」、「家は一生で一番高い買い物」と言われることがあります。家を購入するには大きな決断と迷いが生じます。
それは当然です。全ての希望条件を満たす家は、残念ながらありません。
様々な条件の中で何を求めるのか、どこを譲歩するのかをぎりぎりまで考え抜いて決断に至るわけで、おそらく購入される方の多くは購入する直前まで不安を抱えているものだと思います。
私は色々なお客様と契約を立ち会ってきました。中でも印象的だったのは買主の脂汗でギトギトになった手付金(現金)を数えた時の話です。
買主は緊張と不安で油汗まみれ
私が独立する30数年前の話です(〇〇不動産の店長でした)。新京成沿線の新築物件を建築関係の職人の方に案内し、購入申し込み・契約となりました。
契約当日、当時の事務所で重要事項説明書、契約書の読み合わせが終わり、手付金の授受の段階になると買主の様子が変わりました。買主は顔は紅潮して、机の下をじっと見つめて両手で握りしめた手付金200万円を手離そうとしませんでした。
そんな真面目な買主に同情した私が思わず発した言葉、それは...
思わず発してしまった「手付金は私が個人的に保証します」
「気が変わって購入をやめたいのですか?」と聞いてみると、「いや、そうじゃない」と買主は首を横に振る。どうやら、住宅ローンが否決された場合、手付金200万円が返ってこないのではないかと心配しているようでした。
契約書に明記している住宅ローン特約(融資不可の場合、無利息で手付金全額返金=白紙解約)を再度説明してみても納得しないようでした。そこで、私は思わず「住宅ローン特約が履行されないことがあれば私が個人的に保証します」と発してしまったのです。
更に驚いたことに...
売主側の業者(店長)も「連名で保証します」
その様子を見ていた売主側の業者(店長)が「私も連名で保証します」と言ってきました。「万一、ローン否決で手付金が返金されない場合、契約書とその保証書を持って県の宅地課に行ってください、我々が呼ばれて返金させられますよ」と話しました。
結局、保証書は出しませんでした。買主の不安は解消されたようで納得されていました。その後、笑顔で買付金を机の上に出してきました。私は脂汗でギトギトになった手付金200万円をティッシュペーパーで拭きながら丁寧に数え、買主にお渡ししました。
家の購入は人生における大きな決断です。それ故に契約当日には様々ドラマがあります。
長く不動産業界に身を置いていると、このような経験がたくさんあります。これからもこのような経験談をブログで発信していきます。
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