【幕張本郷の不動産社長経験3】「大丈夫と思わない限り建てません」
建築の世界では「擁壁(ようへき)」という構造物があります。
あまり耳慣れない言葉だと思いますが、簡単に言いますと高低差のある土地を平坦にする場合、低地側に段差ができますがこの段差部分の土壌崩壊を防ぐ構造物のことです。日本は平野の少ない国ですから、日本中いたるところにこの擁壁は存在します。
擁壁にある家を購入する場合は注意を要します。
擁壁の高さによっては建築基準法により、擁壁の再建築が必要になったり、新たに建築する建物の規模・構造に制約が生じることもあります。
擁壁を再建築する場合、状況によっては数百万円(場合によってはそれ以上)の費用がかかることもあり、この辺りの擁壁の注意点については、後日別の記事にてお話ししようと思います。
今回は、そんな擁壁が関わってくる契約の話です。
高低差5.5m程の高台新築
30数年前建築された擁壁のある更地を買取、鋼管パイル(底に羽根がついているもの)28本を地下8m程まで打ち込み、その上に基礎を厚く(250mm)し、中の鉄筋も2重としました。基礎構造として非常に強固で高低差5.5mの高台でも安全性を優先して建築しました。
「擁壁大丈夫ですか?」
当該物件を建売住宅として売り出したところ、あるご夫婦が当該物件をご覧になり、興味を示されました。本物件は隣地の住宅の屋根の高さが本物件の地盤面と同じ高さとなる高低差であったため、1階も2階も陽当りがよく、眺望も非常によく、ご覧になった奥様は大変気に入ってくださいました。
しかしながら、建築関係のお仕事をされている旦那様からは「擁壁は大丈夫でしょうか?」という不安を口にされました。
現存擁壁の検査済の記録がない?
当該物件の擁壁については勿論事前に役所調査をしておりましたが、役所の担当者は「当時の書類は残っていない」との一点張り。旧分譲地でこれだけ高低差のある物件で建築確認を通していたたわけですから擁壁の検査済が残っていないことに閉口しました。
そこで新たに建築する際、鋼管パイルの保証を前提とした保証書(10年保証+2回延長可)を添付して建築確認申請を通し建築に至ったわけです。
「大丈夫と思わない限り建てません」
話は戻ります。「擁壁は大丈夫でしょうか」と不安を口にした旦那様は、建築関係のお仕事をされている方。そのあたり構造的にも理解ある方だったと思います。
弊社では建物に万一、不具合が生じた場合は確実に補修が行われるよう日本住宅保証検査機構の「住宅かし保険(10年間無償補修)」に加入しております。
旦那様にこの辺りのご説明し、万一の補修の手間暇や補修工事は弊社が行うことになるので弊社の信用力に傷がつきます。したがって、「絶対大丈夫と思わない限り建売物件を建てることはありません」とお話しました。
最終的には「基礎の下部鋼管杭の保証書」、「建築確認書」、「検査済証」を全てチェックされ、納得して購入いただき、今では「陽当りよく、(弊社魔法瓶住宅により)冬でも暖房費が助かります」と喜んでお住まいです。
擁壁のある土地(住宅)を購入する場合、様々な留意点があります。
これらの擁壁のある物件の購入を検討されている方は是非、一度弊社までご相談ください。
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