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2019年12月10日
ブログ

【物件調査シリーズ】「浄化槽」のはずが「汲み取り」だった!?

不動産の物件調査で必要なのが、ライフライン(電気、ガス、水道、下水)の確認。
先日の記事(その①その②)でガスについて書きましたが、今回は下水の調査を取り上げたいと思います。
まず、下水処理にどのような方法があるのかを踏まえまして、その上で恥ずかしながら過去の契約時の失敗について書いてみたいと思います。

下水処理の種類

下水処理の種類は大別しますと3つあります。

1.公共下水

行政が管理する下水道で終末処理場(下水処理場)を有しているものです。
道路上に「下水」と書かれたマンホールがあれば、その下に下水管が通っていることになります。
因みに、公共下水の全国普及率は78.8%、東京都は99.5%、千葉県はなんと74.2%(全国21位)・・・。千葉市は97.3%です!!

2.浄化槽

浄化槽は公共下水が整備されていない地域で汚水等を浄化する設備を指します。トイレや台所、お風呂などから出る汚水や汚物を浄化槽内のバクテリアの働きで分解・浄化し放流します(残ったカスは定期的に汲み取り)。浄化槽に関してはいくつかに分類でき、少し複雑です。細分化すると以下の通りです。

浄化槽を嫌がる方もおりますが、下水道料金よりランニングコストが安いというメリットもあり、下水道整備エリアにもかかわらず、浄化槽をそのまま使っている方もおります※(浄化槽のランニングコスト年間1.5万円~2万円)。


※下水道法第10条では、「公共下水道の供用が開始された場合においては、(略)土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、(略)公共下水道に流入させるために(略)排水施設を設置しなければならない。」となっており、公共下水整備地区において浄化槽を使用することは違法とされます(罰則規定なし)。

3.汲み取り

いわゆる「ぼっとん便所」です。排泄物が便槽に貯留される仕組みで、定期的にバキュームカーで回収します。
汲み取り式のイメージは(下記)このようなものだと思いますが、一見すると水洗トイレに見える「簡易水洗トイレ」というものもあります。以前、(道路に下水のマンホールがあったため)簡易水洗トイレを見て“公共下水”と断定した同僚がおりましたが・・・。


汲み取り式を浄化槽型のトイレにする場合、かなりのコストがかかります(行政から補助金の有無にもよりますが100万円を超えるケースもあります)。また、浄化槽を設置するスペースの確保も大前提となります。
従って不動産売買を行う上でしっかりとした調査を行わずに誤った説明をしますと重要事説明義務違反となり大変なことになります。

             簡易水洗トイレ(これも汲み取り式トイレです!)

過去の契約時の失敗

私自身、過去の中古戸建の売買契約でこの下水に関して思わぬ失敗をしました。
それは貸家(収益不動産)の売買契約の時でした。
お客様から投資目的のため賃貸中の戸建物件(オーナーチェンジ物件)を探してほしいと言われ、茨城県南部にある物件をご紹介しました。
はっきりと覚えておりませんが、利回りで30%弱程ある収益性の高い物件だったと記憶しております。

本来であれば事前に物件の現地調査をしたいところではありますが、収益性の高いオーナーチェンジ物件は瞬時に売れてしまいます。そこで、売主側の仲介会社(不動産会社)から役所調査の結果等の資料を徴求し、物件のご紹介をしました。


すぐに買付を頂き、お客様の都合のより10日後に契約同時決済とすることになりました。

多忙、遠距離物件であったことから現地調査が遅れる

売主側の仲介会社から重要事項説明書、契約書のDRAFTが届き、売主の告知内容も含めて物件内容をチェックし、特に問題がないことは確認しておりました。

しかし、その当時は他の仕事も重なり、非常に多忙だったことを覚えております。また車で片道1時間半程度かかる遠距離に物件があったこと等々の事情により、結局、物件の現地調査は契約日の3日前になっていました。

臭突がある!!

賃貸中の物件であったことから室内の確認はできません。外観およびライフライン(ガス、電気、水道、下水)、前面道路の確認等を行う予定で現地に到着しました。
一目でわかりました。
「臭突がある!!」
臭突とは汲み取り式トイレに付帯する設備で臭気を極力高い位置で外に拡散させる煙突のようなものです。
売主側の仲介会社が作成した重要事項説明書には下水は浄化槽と記載されている。
頭が混乱しながら周囲を見渡すと前面道路に公共下水のマンホールが!!
宅内にはブロワーもなく、浄化槽のマンホールらしきものもありませんでした。

まさか汲み取りではないですよね?

私は動揺する気持ちを落ち着かせ、冷静を装いつつ売主側の仲介会社に電話をしました。
「臭突がありますけど、まさか汲み取りではないですよね」と確認すると「売主から浄化槽と聞いている」との回答。「現地見てます?」と聞くとしどろもどろになり、これは危険だと感じ、賃借人(入居者)にも確認とるよう依頼。
重要事項説明書の信憑性がまったくないため、その後、役所調査を一から行いました。
結果、汲み取りトイレでした・・・。

キャンセルですね

重要事項説明書に誤りやミスがあった場合、共同仲介であれば当然ながら作成した会社であろうがなかろうが責任は仲介会社に等しくかかってきます。
下水の調査ミスについてお客様に報告したのが契約同時決済日の2日前。こちらから提示していた条件(汚水処理)が大きく異なっていたため、何度も謝罪し「キャンセルでよろしいですね」と伝えました。
ところが、そのお客様は少し検討させてくださいと言って電話を切りました。そして、契約決済日の前日にお客様から連絡があり、当初の予定の通り購入するとの最終的な返答を頂きました。
どうやら、前面道路(砂利舗装)に公共下水管が通っており、トイレと下水管までの距離が1mにも満たないため、汲み取り式便所⇒公共下水接続工事をしてもそれほど費用が掛からないこと、非常に高い利回りであったこと等々勘案され、購入に踏み切ったようでした。

かなり前の話ですが、この時、どのような物件であったとしても、どのような状況であったとしても物件調査は前広に行うこと、他社の調査があったとしてもゼロベースでこちらも調査を行うことの大切さを痛感し、以後の教訓としております。

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